
競馬のスリリングな瞬間を捉えたいけれど、どんな設定で撮影すればいいのかな?
速い馬を的確に捉えて撮影したい!流し撮りで撮影したい。
競馬雑誌に掲載されているような写真を撮りたい!
こんなお悩みを解決に近づけます。
逞しく美しい競走馬が競技場内を疾走する「競馬」。天皇賞などの大きなレースの前後には、テレビ番組で特集が組まれるほど人気の高い競技です。
しかし、テレビで観たことがあっても、実際に競馬場へ足を運んだことはありますか?実は競馬場は200円(地方競馬場では100円)で入場でき、撮影も可能です。カメラ愛好家なら、ぜひ競馬場に足を運んで好きな競走馬を撮影してみましょう。
そこで今回は、「競馬撮影におけるシャッタースピードと連写設定の重要性」をご紹介します。
本記事の内容
本記事の信頼性

競馬撮影は、動きの速い馬と迫力のあるレースの瞬間を切り取るために、高度なカメラ設定と技術が求められます。特に、シャッタースピードと連写設定は、撮影結果に大きく影響を与える重要な要素です。本記事では、それぞれの設定について詳しく解説し、競馬撮影でのベストプラクティスを紹介します。
シャッタースピードの基本
シャッタースピードは、カメラのシャッターが開いている時間を指し、通常は秒やその分数で表されます。この設定は、写真の明るさや動きの描写に直接的な影響を与えるため、競馬撮影において非常に重要な要素となります。
シャッタースピードの仕組み
シャッタースピードが速いほど、カメラに取り込まれる光の量は少なくなり、動きが凍結されたような写真が撮影されます。一方で、シャッタースピードが遅いと、より多くの光が取り込まれるため明るい写真が得られますが、動きのある被写体はブレて写ります。
例えば、以下のような違いがあります:
- 速いシャッタースピード(1/1000秒以上):動きを止めた写真が得られる。速く走る馬や跳ねる砂などの細部を鮮明に捉える。
- 遅いシャッタースピード(1/30秒以下):動きがブレて写る。意図的にブレを活用してスピード感を表現する場合に使用。
推奨シャッタースピード
競馬撮影では、以下のシャッタースピードを基準として設定するのがおすすめです:
- 1/1000秒以上:動きの速い馬をクリアに撮影するためには、最低でもこの速度が必要です。
- 1/2000秒以上:特に直線コースで全速力で走る馬を撮影する際は、さらに高速なシャッタースピードが求められます。
- 1/500秒程度:馬の動きを少しブレさせ、スピード感を演出したい場合に適しています。
シャッタースピードと明るさの関係
速いシャッタースピードを設定すると光の取り込み量が減るため、写真が暗くなりがちです。この場合、以下の方法で明るさを補正します:
- ISO感度を上げる:感度を高くすることで、少ない光でも明るい写真を得られます。ただし、ISOを上げすぎるとノイズが増加するため注意が必要です。
- 絞り値を小さくする(F値を下げる):絞りを開けることで、より多くの光を取り込むことができます。背景がぼけた写真を撮影したい場合にも有効です。
シャッタースピードが及ぼす描写への影響
- 被写体の止まり具合:速いシャッタースピードでは馬の足や表情まで鮮明に捉えることができます。一方、遅いシャッタースピードでは動きに合わせてブレが発生し、スピード感を演出できます。
- 背景の描写:パンニング撮影(カメラを動かして被写体を追尾する技術)を使用する際には、シャッタースピードをやや遅めに設定することで、背景が流れるような効果を得られます。
シャッタースピード設定の実践例
- 快晴時:光量が十分にあるため、1/2000秒以上の高速シャッタースピードを問題なく使用できます。
- 曇天時:光量が減少するため、1/1000秒程度を目安にISO感度を上げることで対応します。
- 夕暮れ時やナイトレース:光量が不足しがちな状況では、明るいレンズ(F値が低いもの)や高感度対応のカメラが役立ちます。
連写設定の重要性
競馬撮影では、一瞬の動きを逃さないために連写モードを活用することが鍵となります。連写速度が高いカメラを使用することで、決定的瞬間を正確に捉える確率が大幅に向上します。
連写速度の基準
- 10コマ/秒以上:標準的な連写速度で、初心者にも扱いやすい設定です。
- 20コマ/秒以上:プロフェッショナルな競馬撮影では、この速度が理想的です。特に高速で駆け抜ける馬の表情や動きを精密に記録できます。
高速連写のメリット
- 瞬間の多様性:連写を利用することで、レース中の異なる瞬間を短時間で撮影できます。これにより、ベストショットを選ぶ際の選択肢が増えます。
- 動きの分析:馬やジョッキーの動きを連続的に記録できるため、ポーズや表情の変化を詳細に追うことができます。
- ゴールシーンの確実な撮影:ゴール直前や直後の一瞬の表情やアクションを逃さず捉えられます。
電子シャッター vs メカニカルシャッター
- 電子シャッター:
- 利点:高速連写に適しており、シャッター音が発生しないため静かな環境でも使いやすい。
- 注意点:ローリングシャッター歪みが発生する場合があり、動きの速い被写体で注意が必要です。
- メカニカルシャッター:
- 利点:動きの歪みが少なく、自然な描写が可能。
- 注意点:シャッター音が発生しますが、競馬場ではあまり問題にならないことが多いです。
連写時の注意点
- バッファ容量:カメラのバッファ容量が小さい場合、連写中にデータが詰まることがあります。高性能なカメラや適切な設定で対応しましょう。
- 記録媒体の速度:高速連写を活用するには、高速書き込みが可能なSDカードやCFexpressカードを選ぶことが重要です。
- 連写設定の調整:カメラの連写設定(HモードやLモード)を状況に応じて切り替え、適切な速度を選びましょう。
連写設定の実践例
ゴールシーン:ゴールライン直前での激しい競り合いを撮影する際、高速連写により各瞬間の違いを詳細に記録できます。。
スタートシーン:スタートゲートが開く瞬間を捉えるには、高速連写モード(20コマ/秒以上)を使用し、複数のタイミングを確実に記録します。
ジャンプや障害レース:馬が障害物を越える瞬間を捉えるために、連写速度を最大限に活用します。
実際の撮影テクニック
競馬撮影では、シャッタースピードと連写設定を効果的に組み合わせることが成功のカギです。以下に、いくつかの具体的な撮影テクニックを詳細に解説します。
1. パンニング撮影
パンニング撮影は、シャッタースピードをやや遅く設定し、動く馬を追尾しながら撮影する技術です。この方法を活用することで、馬を鮮明に写しつつ背景を流れるような効果にすることができます。
- 設定例:シャッタースピードを1/100秒から1/250秒程度に設定。
- 手順:
- 馬の動きを目で追いながら、カメラをスムーズに動かします。
- 被写体をフレーム内で中央に保ちつつシャッターを切ります。
- 連写モードを活用して複数の写真を撮影し、成功したカットを選びます。
2. ゴールライン付近での撮影
ゴール前は競馬撮影で最も迫力のある瞬間です。この場面を正確に記録するためには、シャッタースピードと連写速度を最大限活用します。
- 設定例:シャッタースピードを1/2000秒以上、高速連写モード(20コマ/秒以上)を選択。
- ポイント:
- ゴール付近に予め位置取りし、馬が来る方向を確認します。
- フォーカスモードを「追尾AF」に設定して馬の動きを正確に追います。
3. レース開始時の撮影
スタート直後の馬とジョッキーのダイナミックな動きを捉えるには、反応の速さと適切な連写設定が重要です。
- 設定例:シャッタースピードを1/1000秒以上、連写速度を10コマ/秒以上に設定。
- 手順:
- スタートゲートが開く瞬間を見逃さないよう、事前に構図を決定します。
- ゲートが開く音や動きをトリガーにシャッターを切り始めます。

4. 障害物越えの撮影
障害レースでは、馬が障害物を跳び越える瞬間が最も見どころです。
- 設定例:シャッタースピードを1/1500秒から1/2000秒に設定。
- コツ:
- 障害物に焦点を合わせ、馬が来るタイミングに備えます。
- ジャンプの瞬間を予測し、連写モードを使用して複数カットを記録します。
5. 周回中の撮影
周回レースでは、馬がコーナーを回る際のダイナミックな動きを強調した撮影が可能です。
カーブに差し掛かる瞬間を狙い、被写体のスピード感を捉えます。
設定例:シャッタースピードを1/1000秒程度、連写モードを適用。
ヒント:馬の動線に合わせたアングルを選び、カメラを固定します。

おすすめ機材
競馬撮影に適したカメラとレンズを選ぶことで、シャッタースピードや連写性能を最大限に活用できます。以下に、競馬撮影に最適な機材を詳しく解説します。
カメラ
- Canon EOS R3
- 高速連写(30コマ/秒)と優れたAF性能を備えたミラーレスカメラ。
- 低照度環境でも高感度でノイズを抑えた撮影が可能。
- 動体追尾に強いAIベースのフォーカス技術を搭載。
- Sony α 1(Alpha 1)
- 最大30コマ/秒の連写速度と8Kビデオ撮影が可能なフラッグシップモデル。
- 759ポイントの位相差検出AFで、正確なフォーカスを実現。
- 高速動作のバッファ処理により、長時間の連写もストレスフリー。
- Nikon Z9
- メカニカルシャッターを排した完全電子シャッター設計。
- 最大120コマ/秒の連写モード(低解像度)と20コマ/秒(高解像度)。
- 防塵防滴性能が高く、過酷な環境下でも信頼性抜群。
レンズ
- Canon EF 70-200mm f/2.8L IS III USM
- 高速オートフォーカスと明るいF2.8の開放絞りを持つ定番の望遠ズームレンズ。
- 手ブレ補正機能付きで、動きの速い被写体にも対応。
- 特にスタートシーンやゴールシーンの撮影に最適。
- Nikon AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
- 広範囲をカバーできる望遠ズームレンズで、遠くの被写体にも対応。
- 手ブレ補正機能(VR)を搭載し、安定した撮影が可能。
- 長距離の撮影が求められる場面で活躍。
- Sony FE 100-400mm f/4.5-5.6 GM OSS
- 高い描写力と優れたオートフォーカス性能を兼ね備えた望遠ズームレンズ。
- ゴールシーンやジャンプの瞬間を捉える際に理想的。
- 防塵・防滴仕様で屋外での使用にも適している。
まとめ
競馬撮影において、シャッタースピードと連写設定は欠かせない要素です。適切な設定を見つけるためには、練習を重ねて経験を積むことが重要です。ぜひ本記事の内容を参考に、競馬場で迫力ある写真を撮影してみてください。