Canon EOS R3は、キヤノンのミラーレスカメラの中でも「プロの現場」を強く意識して設計されたフラッグシップ機です。本記事では、実際に競馬撮影や野鳥撮影といった高速かつシビアな被写体を中心に、超望遠・望遠レンズと組み合わせて使用した体験をもとに、EOS R3の実力を詳しく解説します。カタログスペックだけでは見えない、実戦での使い勝手や信頼性に焦点を当てたレビューです。

EOS R3の立ち位置とコンセプト
EOS R3は、EOS R5やR6 Mark IIといった高画素・高コスパ路線とは異なり、速度・追従性・信頼性を最優先にしたカメラです。一眼レフ時代のEOS-1D Xシリーズの思想を受け継ぎ、ミラーレスとして再構築された存在と言えます。
約2410万画素の裏面照射積層型CMOSセンサー、電子シャッター常用を前提とした設計、堅牢な縦位置一体型ボディ。これらはすべて、スポーツや野生動物など「一瞬を逃せない撮影」を想定しています。
競馬撮影で感じたEOS R3の強み
圧倒的なAF追従性能
競馬撮影では、時速60kmを超えるサラブレッドが不規則に動きながらこちらに向かってきます。このような状況で重要になるのが、被写体認識AFと追従精度です。
EOS R3のAFは、馬の顔や瞳を非常に高い精度で認識し、フレーム内で馬群が重なっても狙った被写体を粘り強く追従します。特に直線でのラストスパートでは、AFが迷うことなく被写体を捉え続け、連写したカットのほとんどが実用レベルでした。

ブラックアウトフリー連写の恩恵
電子シャッター使用時、最大約30コマ/秒の高速連写が可能で、しかもブラックアウトフリー。ファインダー像が途切れないため、被写体の動きを目で追い続けながら構図を微調整できます。
これは競馬撮影において非常に大きなメリットで、ゴール前の一瞬の表情や脚の伸びを、感覚的にシャッターを切り続けることができます。一眼レフからの乗り換えでも、違和感なく使える点は特筆すべきポイントです。
野鳥撮影で実感したEOS R3の完成度
被写体検出「動物」AFの実力
野鳥撮影では、枝被りや逆光、背景の複雑さなど、AFにとって過酷な条件が揃います。EOS R3の動物AFは、こうした状況下でも鳥の瞳や頭部を高確率で検出します。
特に飛翔中の野鳥では、被写体がフレーム内を高速で移動しますが、AFフレームが鳥に吸い付くように追従し続ける印象を受けました。設定を細かく追い込まなくても、初期状態で高い成功率が得られる点は、撮影に集中できる大きな要因です。
高感度耐性と実用ISO
早朝や夕方の野鳥撮影では、高感度性能が重要になります。EOS R3はISO 6400〜12800でもノイズが非常に少なく、羽毛のディテールも破綻しにくい印象です。
約2400万画素という画素数は、一見すると控えめに感じられますが、その分1画素あたりの受光量が多く、実写重視の野鳥撮影には非常にバランスの良い解像感だと感じました。
望遠レンズとの組み合わせ
EOS R3はRF超望遠レンズとの相性が抜群です。RF100-500mmやRF400mm F2.8、RF600mm F4といったレンズを装着しても、ボディバランスが良く、縦位置グリップのおかげで長時間の手持ち撮影でも安定します。
ボディ内手ブレ補正とレンズ側ISの協調制御により、望遠域でもファインダー像が安定し、被写体を狙いやすい点も大きな魅力です。特に流し撮り時の安定感は、一眼レフ時代よりも確実に進化しています。
操作性・信頼性
EOS R3の操作系は、プロユースを前提とした完成度です。カスタムボタンの自由度が高く、AF関連の設定を瞬時に切り替えられます。また、防塵防滴性能も非常に高く、屋外撮影が多い競馬場やフィールドでも安心して使用できます。
バッテリー持ちも優秀で、電子シャッター多用でも一日撮影をこなせる点は、ミラーレスに対する不安を払拭してくれます。
EOS R3はどんな人に向いているか
EOS R3は、万人向けのカメラではありません。しかし、競馬・モータースポーツ・野鳥・航空機など、動体撮影を主軸とするフォトグラファーにとっては、現時点で最高峰の選択肢の一つです。
画素数やスペックの数字以上に、「撮れる確率」を最大化してくれるカメラ。それがEOS R3の本質だと感じました。
まとめ
競馬や野鳥といったシビアな撮影ジャンルにおいて、EOS R3はAF性能・連写性能・信頼性のすべてが高次元で融合したカメラです。望遠レンズとの組み合わせでこそ、その真価が最大限に発揮されます。
決して安価なカメラではありませんが、「決定的瞬間を逃さない」という一点に価値を見出すのであれば、EOS R3は投資に見合う一台です。実戦で使い込むほど、その完成度の高さを実感できるカメラだと言えるでしょう。
スペックや比較では解決できない
「自分はどれを選ぶべきか」という判断については
noteで実体験をまとめています。